相談概要 | [氏名] K [相談内容] リフォームの瑕疵 [居住住所] 兵庫県西宮市 [職業] 主婦 [年齢] 40 [女性] on [構造] 鉄骨造(ラーメン構造) [引渡し年月日] 西暦 [何階建て] 2 [延べ面積m2] [延べ面積坪] 40 [工事請負金額] 2000 [設計監理料] 200 [様態] 注文建築 [施工者] 大工(工務店) [設計図面は何枚もらいましたか?] およそ15〜20 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 10くらい [施工者名] K工務店 [販売会社名] [設計者名] T建築設計事務所 |
相談内容 | 現 象: [現象] 主に断熱改修のため、自宅をリフォームを依頼しました。2階建て で、2階のワンフロアーだけが住居で、下は駐車場です。 建築士は、建築士を斡旋してくれる業者による紹介です。 工務店は建築士の指定です。 建築士の「リフォームは内装をばらさないと分からないので」というアドバイスにより、相見積もりはせず、建築士が指名した工務店(建築士と懇意)です。 断熱施工を始めたところで、断熱の施工不良が判明しました。 1、斜め天井の小屋裏通気層に吸気口排気口がない。屋根断熱ではなく、天井断熱でグラスウールを敷き詰めてあります。小屋裏の密閉された空気が異常に上がり、天井板を高温にし、頭上から不快な輻射熱を感じたことにより気が付きました。これをきっかけに断熱素材メーカーに電話したり勉強したりして、他の断熱の施工不良についても分かり始めました。生活空間がそこにしかないので、逃げ場がありません。 (例えば、3階は暑くても、2階が通常いる場所であるとかではありません) 2、風呂周りに断熱材が入っていない、または他とは違う薄いものが入っている。 風呂はユニットが入らなかったため、FRPで現場製作です。 3、床の断熱材の入れる位置が、断熱メーカーの位置と違う。メーカーはフローリングの下の構造用合板に接するように断熱ボードを入れるよう指示しているが、実際は構造用合板の下に根太があり、その下の大引の間に入っている。根太の間は空間になっていて、電気配線が渡っている。フローリング材の貼り付けは完了しています。メーカーに問い合わせると、「大きな問題は無いが、断熱性能は落ちる」と言われました。 4、充填工法で縦に等間隔で立てた角材の間に壁に断熱ボードを張っているが、その上に横の薄い角材を貼り、壁板を貼り、外側に通気層は無いが、室内側に空間がある。断熱材と壁材が密着していない。 5、柱に断熱の施工が無い。柱と後ろの壁に少しの隙間しかないので断熱材は入りません。 6、壁と天井の境目の鉄骨が剥き出しで、断熱されていない。 7、天井の梁、棟の鉄骨の下にも断熱が入っていない。 8、すべてのミスを施主が指摘したため、そのほかにも何か見つかっていない施工ミスがあるのではないかと不安。断熱以外でもすべてにおいて監理業務が適切に行われているのか不安。 9、建築士が施主側の立場に立たず、その時の風向きによって工務店に寄り添ったり、施主の言いなりになったりする。 断熱改修をどうするか決まらず、工期が2ヶ月近く遅れており、仮住まいの負担や、いつになったら家に戻れるのか精神的にもつらい状態です。建築士が味方でない、十分な知識が無い、人事のような対応なのが一番つらく、誰に相談すればいいのか分かりません。 相手の意見: [業者の見解] 1、現在断熱計画ミスを認め、改修のため検討していますが、断熱について正しい知識を持った者がいないので良い案が出てきません。 2、他の寸法が足りなくなるため、断熱材の厚さを工務店の独断で変更したそうです。断熱施工ミスを工務店が認め、作った風呂を撤去して、費用も工務店持ちでやり直しする。 3、工務店は、「断熱メーカーの指示通り施工施工することも出来たがそうしなかった」ことを認めたが、この方法で問題ないと断言。理由は2階のコンクリートスラブを1階の土間に見立てたから。または、空間は閉じられているので、断熱性能も結露も心配ないとのこと。建築士は、「むしろこの方法が正しい。」と言い切りられましたが、根拠はいまだ示してもらっていません。 4、床で問題があるなら壁も?と疑問に思ったまま、上記のことがあるので言っていません。 5、壁に使っている断熱ボードと同じもので柱を囲むことになった。柱と外壁の間には、薄いグラスウールが押し込まれているが、性能と結露しないか疑問を感じる 6、断熱ボードで囲むことになった。ボルトのある部分については発泡ウレタンを吹き付けることに。 7、断熱補強をすることにはなったが、何をどれくらいという提案の根拠が適当で、不安。 8、問題が発覚するたびに建築士から「すいません、対処します。安心してくだ さい。」「以後気をつけます。」と言われるが、具体的な対策が提示されない。 工務店に任せている。 1の対策に掛かる費用については当初誰も言い出さず、我々も金額の大小で良い対策案が出なくなっても困るので黙っていたのですが、こちら持ちという雰囲気になり、とうとう切り出しました。 結果、過分な負担は出来ないがという前置きありで、施工費は工務店持ち、材料費は施主持ち、建築士も責任を認め、一部出すということになりました。建築家賠償責任保険には加入していないそうです。 相談内容 : [相談内容] 今、何とか事を前に進めようと対策会議に施主自らも参加して検討していたのですが、断熱に詳しい人がいないまま、仕方なく自分で勉強すればするほど、この施工はまずいと気が付くことになり、問題が発覚する毎に施主が対処を指示するのではもうどうにもならないレベルではないかと思えてきました。 工務店は自分の出来る範囲の施工方法や、経験のある工法を考えてくれるのですが、限界があります。 断熱に対する理解に誤解があり(小屋裏換気しすぎると冬寒い、グラスウールの袋の耳は壁に留める施工するためであり天井施工には関係ない)いまさら是正は難しいのではと思えてきました。施主の意見は神経質な素人の言うことだと思っているようにも見えます。 指導してくれるはずの建築士は、「自分は断熱に詳しくない」とおっしゃり特に何かをしようとしているようには見えません。 ただ、最後までやらせて欲しい(設計料も最後までいただきたい)とは言われています。 信頼できる公正な第3者に助けて欲しいです。 今から新しい建築士さんに頼んだとしても、引き受けてくれる断熱に詳しい建築士さんがいるか、工務店、今の建築士は受け入れてくれるのか、費用はどこから捻出するのか、また、どこに頼めばいいのか、今、どれくらい深刻な事態になっているのか、それさえも分かりません。 このまま施主主導で頑張り続け、施主が考えた改修案が通り、そのまま施工されてしまいます。 今から出来る対策は何があるのか、どこに頼めばいいのか、私たちはいったいどうすればいいのか教えてください。 |
yorozuの感想 | いろんな専門の方にいろんな角度からご意見をいただけるのは、初めての経験ばかりである施主にとって大変貴重でありがたいです。皆さん、いろんなことに悩まれていて、高額で生活の芯となる家がこんなに適当に作られているのかと思い、愕然としました。 |
アドバイザー | |
山口 雅克 | 解説員の山口です。 平成25年10月から省エネ基準が改正されますね。その「住宅 省エネルギー技術 施工技術リーダー研修」の講師をしていますの で参考までにアドバイスを差し上げます。 断熱のリフォームはケースバイケースで、新築に比べると工法や 材料の選定など難しいものがあります。今回の相談では、設計者も 施工者も省エネのことを充分に理解していないようなので、まずは 省エネに詳しい建築士を探すことから始まりますね。 まずは第三者の断熱と省エネに理解のある建築士に一度現地を見 てもらい、問題点の整理をしてもらいましょう。信頼が薄れた三者 の間に入り、冷静に事を見つめることから始めましょう。これでし たら今の設計者や施工者も了解し納得してくれると思います。費用 は一日分の日当(人件費+経費)で済みます。 その整理ができたところで、第三者の建築士に報酬と業務範囲を 聞いて判断することになると思います。 断熱設計は熱的境界を明確にし、断熱・防・気密の3点セットが ポイントです。断熱層、防湿層、気密層、防風層、通気層、気流止 めをしっかり把握し、開口部の断熱(建具枠とガラス)と日射遮蔽 に気配りが大切です。 教科書のようにきちんと施工できることはなかなか難しいくらい に色々な部材や設備が関わってきますが、できるだけ丁寧な施工が 求められています。理解のある建築士の助言を受けられるように努 めてください。ここで言う建築士の助言とは、技術的なサポートの ことであり、金銭的な妥協案や当事者の責任の割合を言うものでは ありませんので、誤解のないようにお願いします。 |
武田 直行 | 解説委員の武田です。 現地調査及び設計図書の確認がないことを前提であくまで仮定の解説 になります。 鉄骨造2階建てでラーメン構造といえば外壁は通常ALC版です。ALC版 自体内部に気泡を含み断熱性能が比較的高い材料です。鉄骨構造材の 外側に取り付けますので柱などは外断熱されている形です。1階は車庫 で当然断熱の必要はありませんので外部と同じ環境とみなしてよいで しょう。2階が住宅ということで車庫からの空気の出入りを遮断する必 要があります。問題は外壁と床との取り合い部分です。隙間を断熱材できっちりふさぎます。 外壁がALCではなくサイディング仕上げなど材料自体に断熱性能が劣る 場合は話は別です。その場合は壁の断熱材がグラスウールとするなら その外側に通気層を設けるのが無難でしょう。 天井部分が勾配天井になっていることから屋根も陸屋根でなく軒のあ る構造だと想定されます。その場合は屋根仕上げ材を支える垂木部分 の空間を利用して軒の上と下に換気口を設ければ天井裏にこもった熱 気は排出できます。軒のない場合は構造材を貫通して換気口は設置で きないので梁下まで天井を下げるしか換気口はとれないと思います。 勾配屋根の場合でもフラット天井なら天井裏の換気計画は比較的容易です。 2階床の断熱ですが確かに構造用合板直下に断熱材があるのと大引き 部分にあるのとでは根太成部分の空気層があるので空気の対流により 熱損失が出ます。しかし断熱性能が若干落ちる程度です。我々が寝て いるときでも体と布団(断熱材)とは密着できずに隙間が生じますが 布団がないのと比べるとその断熱性能には雲泥の差がありますね。お 金をかければ車庫の天井に断熱材を吹き付ける(張る)ことも可能です。 断熱改修は費用対効果を考えて適正な線をどこに引いて実施するかに かかっています。穴の開いている容器をいくら厚く頑丈にして漏水を 防いでも穴を修理できなければ費用がかかるばかりで流出する水量 (熱量)は変わりません。穴にあたるものとしては開口部や隙間部分 が相当します。 やはり断熱改修に十分経験を積んだ建築士がきちんと現状調査をする 必要があります。それを踏まえて対策を考えることが大切だと思います。 |
コメンテーター | |
米村 和夫 | 担当コメンテーターの米村です.断熱計画は建築物本体の仕様と断熱材 の性能,詳細の仕様等の複合によって計画するものです.設計者によっ て設計仕様も違います,ですが文面より施工上の疑問点があり瑕疵の可 能性がありますが,設計図の精査と現地調査が必要になります.温熱環 境の専門の設計士に相談されること,または,よろず建築相談会が大阪 でも定期的に開催されていますのでご活用下さい. |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 主に断熱改修を依頼しているのに、この有様は、さぞ、悲しい思いだとお察しします。内容から設計するものとして、当然、対処するべき内容で断熱に強いとかいうレベルではありません。この程度の設計ができないのは設計者とは言えないでしょうし、施工者に対処を考えさせるのも、疑問に思います。通常設計図面があり、施工者はその通り施工し、それを監理者(今回は設計者)がその通りできているかを確認することなのですが、今回の問題は設計に問題があったようですね。それを施工者そのまま施工することになるので、設計ミスということになります。設計ミスならば設計者が対処方法を提示しなければならないのですが、それもできないところをみると、設計できるレベルで無かったことになります。 ただ、ほんとうにそうなのか?疑念があります。それほど、難しい断熱工法ではないので、監理の方がお座なりになり、現場を見ていなかったのではないでしょうか?だから、どうなってどう施工されているのか?設計者は理解できない。だから、施工した施工者に対処方法をかんがえさせているのではないでしょうか? 断熱改修では特に現場での監理が重要な業務になります。建築主に対する裏切りになりますね。 信頼できなければ当事者で費用を捻出し、第三者の建築士に妥当性の評価を依頼する方法もあります。誰が、妥当な建築士か?を探すのも難しいですが、HPで断熱のことに触れている建築士を探すという方法もありますね。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | |
その後 |
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