相談概要 | [氏名] M.S [居住住所] 神奈川県横浜市 [相談建物予定地] 兵庫県尼崎市 [職業] 大学助手 [年齢] 30 [男性] on [構造] 鉄骨造(ラーメン構造) [設計者はどなたに依頼しますか?] 専業の建築設計事務所 [何階建て] 3 [延べ面積m2] 280 [延べ面積坪] [工事請負金額] 2000 [様態] 注文建築 [施工業者はどちらに依頼しますか?] リフォーム会社 |
相談内容 | [家づくりの相談内容] ALC壁の補修、補強について 両親所有の築15年の鉄骨3階建てALCパネル造の建物の改修を考えています。 先の阪神大震災では、ALC壁が脱落する被害が多く発生しましたが、両親は現在の自邸がそのような被害を受けないか非常に不安に感じており、改修計画でも、外壁の補修補強方法が大きな問題になっています。 先日とあるリフォーム会社にたずねたところ、近年のシーリング材は性能が上がっているので、シリコン系シーリング材で目地をやりかえれば、神戸クラスの地震でも「絶対に」大丈夫だということでした。 しかし、シーリング材の補修だけで、完全な脱落防止効果があるとは俄かに信じがたく、やはり支持部の金物などから耐震性の高いものに取り替えるなどの措置が必要なのではと思っています。 (当然それなりの大変な工事にはなるでしょうが) つきましては、シーリング材の耐震面での効果について、また、その他のALC壁の耐震補強方法の有無について、(もちろんどんな地震でも絶対に落ちないというのはありえないと思いますが、少なくともそれなりの効果が認められる工法がありましたら) ご教示いただければと思います。 どうぞよろしくお願いいたします。 |
yorozuの感想 | 非常に参考になります。 ただ、過去の相談内容の検索機能がうまく機能しませんでしたが・・・? |
アドバイザー | |
氏原 毅士 | 私の知る限りではシーリングは防水材であって接着剤ではありません。ALC版は、上下の鉄骨に可動(回転)可能なクリップを使って固定し、鉄骨の揺れに抵抗するのではなく、追従するように固定します。 その動きにさらに追従するような弾性シーリング材をパネルの目地に充填します。 業者の意見は完全に間違っています。 やはり、第三者の設計監理(たとえリフォームと言えども)に任すべきでしょう。 |
山口 雅克 | シーリング材はあくまでも目地の防水用の材料です。ALC版の取付け強度には直接関係はありません。間接的には漏水がもたらすALC版取付け部材の腐食をまねく事ぐらいでしょうか。 ALC版の取付けにも幾つかの工法があります。15年前ですから、昔は一般的だった鉄筋を挿入して外からボルト留めの工法かもしれないと思いますが、一度確認されたら良いと思います。取付け方法を変えるとなると内装のやり替えが必要ですが、クリップで留める方法になります。高層の建物に使う工法です。3階建てですから今のままで良いような気がします。その予算があれば目地のシーリング材打ち替えと外装の再塗装をする程度が賢明だと思います。 外壁の脱落で被害を受ける人はその建物の所有者とその建物の側にいた人になりますので、少なくとも第三者に被害を与えそうな部分だけ行うことも考えられます。 |
堀住 勝雄 | M.S様の建物がどのような工法で建築されているかは調査しなければ判りませんが、地震でALC版が落下した多くの例は目地に鉄筋を差し込んでモルタルを流し込んだ工法でした。15年前の建物とすると層間変位追従工法(例:DR工法)が開発されていました。後者の工法で施工されていればかなり安全性が高まっています。 お訪ねになったリフォーム会社の能力が判りませんがそのあたりの調査能力があっての改修ならばいいのですが、単に表面のシーリングと塗装のみの改修では落下の危険性は無くなりません。御予算と廻りの状況にも依りますが、版の取り付け補強と同時にALC版の外側にもう一枚の外皮、例えば鉄板やサイディングを被せる方法を私はお奨めします。 |
藤井 修 | 15年前のALC工法ですとボルトで取りつける工法もありましたがコストが安い鉄筋挿入工法が多く用いられていました。地震に対しての補強ですが鉄骨に固定されたALCは鉄骨のゆれに対して追随できませんので、シール部分に切れやALCの破損がおきます。 大きな地震への対策でしたら堀住さんのおっしゃるように今ある外壁の上に壁を新設する方法がよろしいかと思います。 それとALC間のシーリングは防水の為の材料です。 |
コメンテーター | |
阿部 重幸 | 改修工事は新築工事以上に難しい部分があります。まずは専門の建築士の方に改修について建物全体の調査をお願いするのが賢明でないでしょうか。 又、其の方が結果としてより良い改修工事が期待できるのではないでしょうか。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 地震による建物の変形には平面的な偏心率と立面的な層間変形角を考慮する必要があります。 特にALCの話ですとその建物が持つ層間変形角によっても考え方が変わってくる場合もあります。 大規模地震にはDR工法は確かに適していますが、中小規模の地震には挿入筋工法でもそれほど耐震的でないとはいえないかもしれません。あまり、いいとはいえませんが、タイルを外壁に目地まで貼る場合は挿入筋工法が多く採用されています。(残念ながら現実として)DR工法にタイルに目地までタイルを貼ることは許されません。動くことを前提にしているからです。 以前は値段も安く、タイルを貼れる(正確にはDR工法でもタイルの打ち込まれた方法があり、この方法が美感情一番優れていますが高いです。)挿入筋工法が主流だったのは確かです。 どちらの工法かを確認ください。 シーリングの性能は二次的なもので、なんの根拠もありません。 大切なのは構造に精通した建築士に調査してもらい、設計してもらうことをお勧めいたします。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | |
その後 |
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