相談概要 | [氏名]A.Y [居住住所] 三重県安芸郡 [相談建物予定地] 同上 [職業] 主婦 [年齢] 59 [女性] on [構造] 鉄筋コンクリート造(ラーメン構造) [設計者はどなたに依頼しますか?] ハウスメーカーの建築士 [何階建て] 2 [延べ面積m2] [延べ面積坪] 約50 [工事請負金額] 2500 [様態] 注文建築 [施工業者はどちらに依頼しますか?] 特に決めていない。 |
相談内容 | [家づくりの相談内容] 築後35年一部18年の鉄骨プレハブ一部木造の住宅に居住して いますがリフォームか新築かを迷っています。 リフオームの場合は一応キッチン、ダイニング、リビング、トイレ、洗面(2階へも)、 浴室及び外壁サイディング工事雨樋、屋根瓦の取り替え等々見積りをお願いしましたら1,000万円程度と言われ てい ます。 これだけのリフォームで残存部分の見劣りなどを考えますと思い切って新築したほう が賢 明かと思案するわけです。 ちなみに家族は夫と長男(33歳未婚)がおります。夫婦とも退職しておりいずれ年金生活に入ります。 この場合金融公庫の借り入れの良し悪しは?又長男の名義にして公庫の借り入れを考えることも視野に入れたほうが良いのでしょうか。 もう一点近所に宅地として63坪ほど の土 地を所有していますがそちらへの建築もいかがなものかと。お忙しいところ恐縮です がど うぞ適切なアドバイスをお願いします。 |
yorozuの感想 | 問題ないと思います。 |
アドバイザー | |
久米 能子 | 久米と申します。 リフォームか、新築かを決められるのには、まず、構造部分がこれから先表面的なリフォームの後にどれだけ手を加えずにもつ状態であるかを調べられるべきだと思います。 築35年と一部18年ということで、既に一度増築をしておられるようですね。その初めの部分とその後の増築部分の取り合いがきちんと安全になされているか、鉄骨、木造部分それぞれのいたみ具合はどうか、などまずそれを調べましょう。 また、そもそもリフォームの目的はどのようなものでしょうか。ただ見た目にこぎれいにしたいということではなく、今後の生活を息子さんと含めて、どのような計画を立てられるのか、それによってリフォームか、新築か、別の土地への新築か、の方向が見えるでしょう さらに、まだまだ先の話ではあることでしょうが、将来の相続資産として家を捉えて、税制面からの検討も必要でしょう。 家族の記憶のつまっている家を安易に壊して建て直すのは、残念でもありますが、また一方で、上記のような検討をしてみると、新築のほうがよいと言う結果がでる場合もあるでしょう。 一度、建築士のかたに調査して貰い、また、税理士の方にも相談してみて、納得のいくような方針を出されることを応援しています。 |
津村 泰夫 | 大阪の津村と申します 築35年というと、かなり老朽化が進んでいるのではないかと思われます。まずは現況建物の調査・診断をおすすめします。 正確に現況の建物を把握し、老朽化した部分、特に給排水などの補修にどのくらいの費用がかかるか、また基礎が地盤に耐えられるかを判断します。補修をおこないリフォーム設計をした場合と、すべて解体し新築設計した場合とを比較しましょう。新築のメリットは時代に合った間取りづくりをすることができます。また古い思い出のある部材を再利用して使うことも可能でしょう。 金融公庫のローンには返済期間の制限(70歳までに完済)を緩和する親子リレーローンがあります。 近隣の土地も「用途地域」や敷地の形状などにより建築条件も様々ですので、どちらも建築設計事務所にご相談されることをおすすめいたします。 |
コメンテーター | |
氏原 毅士 | 私の知人がロンドンで中古住宅を購入したのですが、土地は女王陛下からの借り物、上物は築後たった90年という話でした。 中古住宅に対する成熟した社会を垣間見る思いでうらやましく感じたものです。 さて、日本でも近い将来こんな流通があたりまえになる。というより新築需要が減り、リフォームがメインになるのでしょうが、現状では何かと困難な問題を抱えています。 我が家は築6年にして銀行評価は新築価格の10%程度。土地は購入時から下落を続けいまや購入単価は2分の一以下。 大事に手入れし住みつづける事のみが唯一の選択肢という情けない現状です。 AYさんは新築予定価格を2500万と見ておられるようですが、50坪をこの値段で建てなおすのは困難かと思います。(建売ならいざ知らず)1000万で快適に過ごされるほうが得策かと思うのですが。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 昨今、リフォームの需要が増えておりますが、残念ながら新築以上にトラブルも多いのが実情です。 充分に思案し、結論を導き出していただきたいと思います。 近年、景気低迷により、依頼者側も、将来の不安的要素があり、建築資金を最小限で考えるようになりつつあります。また、業界側もリフォームに参入している会社も多くなっております。 氏原コメンテーターのお話の中でもありましたように、残念ながら日本の建築は建替え文化といっていい風土がありました。 江戸時代以前は台風が来て、地震が来て、壊れたら建替える。そんな発想です。 欧州ではご存知のとおり法的な規制も厳しく、一旦建てると建替えはなかなか厳しく制限され、リフォーム技術も高いといえます。ですから長く残る建物は景観としても大切に扱われ、いい町並みが保持されています。 そのような日本の文化でしたが、今後はリサイクル文化に日本もなります。 建替えるのではなく、リフォームする文化になると考えられます。 しかし、残念ながら日本の文化はそのような体制になかったので新築でも木造は建替え年数は24年と近年は異常な短い家生命と終わっています。 実は日本の文化では農家などの家は100年200年もったわけです。 しかし、資本主義的文化は家を商品として扱うようになり、商品は消費しなければならない。ゆえに短い家の寿命で充分という発想になりました。 これは残念なことです。このような体制が続いたおかげで、現在の家は構造的に25年くらいもてばいいという程度の発想しかないのです。 品確法で10年の瑕疵保証となりましたが、その保証さえ虚しい響きであるのが実態です。 リフォームでご注意する点は次の点です。 ・構造的にいたみ具合を調査する。(これは絶対に必要です。) ・工事に入ってからでないと不具合が見つからない場合もあるので余分な出費が考えられる。(設備や構造など)・リフォーム会社は必ず建築に強いとは限らないのでご注意ください。 平気で壁や柱を抜いてしまします。とる場合は他に補強するとか構造的な裏づけがあってできるものです。 ・契約が成立し、工事が始まると「ここは痛んでいる」と別途請求書をだすことが多くなりますが、工事がとまることを恐れる依頼者の足元を見て高い見積もりを出す業者が大変多い。(これは新築でも同様ですが) アドバイスするなら、独立した建築士に調査を依頼する。 そして、補強を含めた設計を依頼し、見積もりを建築士に確認してもらう。 工事が始まったら監理を依頼し、追加見積もりは全てチェックしてもらう。 このようにすればリフォームでも安心して住める家になると思います。 その為には調査が重要です。 頑張ってくださいね。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | こんにちわ。 先日「建築よろず相談」では大変お世話になりました。 ご丁寧な回答をいただきありがとうございました。 このことを踏まえ満足ある住宅作りに励みたいと思います。 残暑厳しい折柄どうぞご自愛ください。まずはお礼方々ご挨拶まで。 |
その後 |
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