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建築よろず相談

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No.0350 不同沈下を杭で支えて・・・

 相談概要 [氏名] H.Y
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[住所] 神奈川県横浜市
[職業] 会社員
[年齢] 31
[構造] 木造(2X4工法)
[築何年ですか?] 築 1年以内
[何階建て] 2
[態様] 注文建築
[生産者] 大工(工務店)
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] −
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済書は有りますか?] 有る。
[お手持ちの図面は何枚?] 10枚以下
[打ち合わせ何回] 10回以下
[床面積] 120m2以下
 相談内容 [背景]
東傾斜の土地を購入し、不動産屋の紹介の工務店に建物の建築を依頼しました。
元々、石積みの擁壁がありましたが、老朽化しているため、同工務店に、RCの擁壁へ作り直してもらってから、建物を建築し、99年8月に引き渡しを受けました。

建物の引き渡し時、基礎にひびが入っていたので工務店に指摘したところ、表面的な問題なので心配ないとのことでした。
ところが、居住後3ヶ月経過した11月頃、別の場所にも基礎にひびが発生しており、調べさせたところ、建物の東側が7mmぐらい下がっていて、基礎のひびは、家を二つに割るように入っていることが判明しました(ちなみに基礎はベタ基礎です)。

業者が言うには、擁壁工事により、土地の片側部分の土を掘り起こして埋めたため、建物が傾いたとの回答でした。
この補修として、擁壁(L字)の底部を土台にして、建物の東側の角の2カ所に、基礎を支えるような形で杭を1本ずつ入れました。
基礎のひびは、ひびの上に薄くコンクリートをもり、ひびが解らないようにしました。
また、同時期に2階の居室の床がそったり、壁と天井(屋根なり天井)の隙間が1cmぐらいあいたりする不具合も発生しました。これらは、木の伸縮によるものとのことで、床は未対策、壁と天井の隙間はパテで埋めただけです。

基礎に杭を入れてから3ヶ月経過した00年2月現在、家の傾きが進行してるかどうかは解りませんが、基礎のひびの補修のためにもったコンクリートが剥がれ落ち、ひびが浮き出ている状態です。

新築して早々このうようなトラブルに見まわれ、この先、何十年も家が保つか心配でたまりません。
以下に概略図(添付方法が解りませんでした)と相談内容を示しますので、アドバイスなど宜しくお願いします。

[相談内容]
Q:建物の傾きや基礎のひびに対する補修方法(杭を入れる位置,杭を入れる数,ひびの処置)は適切だったのでしょうか?

Q:地震や地盤沈下が生じた場合、基礎のひび部に、負担が集中すると思いますが、ひび部を補強する方法はないのでしょうか。

Q:基礎のひび部にコンクリートをもっても、すぐに剥がれてしまうようですが、ひびが解らないように補修する方法はないのでしょうか?

Q:親族や知人等に相談すると、「3ヶ月で基礎が真っ二つに割れるような家は欠陥住宅。弁護士に相談した方が良い」と言います。本件は、建物の建て直しや施工費用の返金を求めてもおかしくないような内容でしょうか。

以上、宜しくお願い致します。
 yorozuの感想
アドバイザー 
小松原 敬 それはお気の毒です。こうした場所は事前に地盤調査をしてちゃんとした設計事務所に設計を依頼すべきでした。

擁壁を造るときは、裏側の土も取ってしまい最後に埋め戻しをします。
ですので、埋め戻した場所としていない場所で明確な地耐力の差が出ます。

軟弱地盤には通常、ベタ基礎は有効ですが、ベタ基礎は布基礎よりはるかに重いのでこのような場合には柔らかい方向に傾く可能性が強いです。

このような場合は、埋め戻した場所を地盤改良した上で地盤に負担をかけない布基礎にするか、ベタ基礎なら根入れを深くして排土重量を大きくして相対的に重さを軽くする方法で造るべきでした。

補修方法は基本的には悪くはないとは思いますが、有効な施工方法を正確に言うには地耐力試験をして構造計算しないとわかりません。サウンディングという簡易な地耐力試験(5万〜10万くらいでできます)で データをとって、構造専門家にご依頼ください。(有料にはなりますが)

当座の考えとしては、これから数年の間は、定期的に沈下測定する事をお勧めします。それでこれ以上沈下してなければ大丈夫でしょう。
ちゃんとしたベタ基礎ならば、地震などには強いので基礎部分は大丈夫です。
(鉄筋がダブル配筋になってるほうが望ましいですが)

少々のクラックなら、構造的には問題ありませんし。
ただ、雨水などが入ると鉄筋がさびるので補修は必要です。
補修方法は他の方が詳しく解説してますのでそちらをご参照ください。

補償に関しても、他の方の解説のとおりです。

ただ、内装はきっちり直してもらうことと、文書で定期的な沈下測定の実施と、もし問題があった場合の対応について具体的なとりきめをしておきましょう。
中川 雅実 Hさんこんにちは、ご心痛のことお察しします。回答は項目毎にさせて頂きます。

> Q:建物の傾きや基礎のひびに対する補修方法(杭を入れる位置,杭を入れる数,ひびの処置)は適切だったのでしょうか?

沈下に対しては杭と安易に考えがちですが、原則異種の基礎は(べた基礎と杭基
礎)問題が有ります。杭間隔によっても地中梁の応力負担が違ってきます。
図面を見せていただき回答したいです。

> Q:地震や地盤沈下が生じた場合、基礎のひび部に、負担が集中すると思いますが、 ひび部を補強する方法はないのでしょうか。

程度によりますが、Vカットによるカチオンタイトによる補修/エポキシ注入/グラウト注入とかがあります。

> Q:基礎のひび部にコンクリートをもっても、すぐに剥がれてしまうようですが、ひ びが解らないように補修する方法はないのでしょうか?

すぐに剥がれてしまうようでは、補修方法に問題が有りそうですね。

> Q:親族や知人等に相談すると、「3ヶ月で基礎が真っ二つに割れるような家は欠陥 住宅。弁護士に相談した方が良い」と言います。本件は、建物の建て直しや施工費用 の返金を求めてもおかしくないような内容でしょうか。

大切な財産ですので、その様な話が出てもおかしく有りませんが、建て直しや施工費用の返金は原則的に難しいです。

裁判になっても裁判官は、現存する建物は補修できると定説を持っています。
(建築に関しての知識は、中学校程度のレベル)
補修項目を算出して積み上げるしか有りません。
 大内 彰 >この補修として、擁壁(L字)の底部を土台にして、建物の東側の角の2カ所に、基礎を支えるような形で杭を1本ずつ入れました。

擁壁の基礎上に母屋の杭を載せるというやり方は問題があるのではないでしょうか?
敷地に余裕がないなど他に方法がなかったのならばやむを得ないでしょうが、本来は勧められる方法ではないのでは?
これは原則として建物と擁壁は接続しないというのが「定説」になってるので。

べた基礎は確かに重いですが、根入れがなされていれば重量的には同等以下になると思います。
そして、地盤がやわらかい場合は特に布基礎の方が不同沈下しやすいと思います。

クラックの幅が小さく表面的なものならばコンクリートの表面を目あらしの後、無収縮モルタルを塗れば問題ないと思いますが、今回のような場合はクラックが貫通していると思いますからセメント系低圧注入工法で補修するのが妥当だと思います。

5年間程度の定期的計測と、問題が起きたときの保証について文書にして交わしておくことが必要だと思います。 
 我伊野 威之 >この補修として、擁壁(L字)の底部を土台にして、建物の東側の角の2カ所に、基礎を支えるような形で杭を1本ずつ入れました。

その場しのぎ的補修方法ですね、とりあえず沈下は治まるでしょうが、将来どうなるか解らないですね。
ぱっと思い付く問題点を上げてみます。

問題点1)杭材が負担荷重に耐えられるよう計算されているか?
問題点2)擁壁底版が、杭先端からの集中荷重を支えられるのか?
問題点3)擁壁底版下部地盤が、杭先端からの集中荷重を支えられるのか?
問題点4)杭は本体基礎に緊結されているか?
問題点5)杭を配置することにより、基礎(べた基礎底版)、基礎梁(地中梁)応力状態が変化するが、検討しているのか?
問題点6)後施工で杭を配置しているが、上部架構の材心に配置できているか?偏心して施工している場合には、偏心応力を処理する検討はなされているか?
問題点7)建物東側は杭、西側は現状のまま直接基礎、将来西側が沈下する恐れ有り。沈下量の予測はなされているか?

検討、考慮がなされていることを祈ります。 
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 かなり深刻な事態と受け止めております。
業者が認めているように不同沈下が起きてしまったわけですが、その後の補修も問題があります。特に杭を2本とした事で中川解説委員が解説しているように擁壁と平行の基礎梁の応力が初期の応力と杭施工後の応力は全く逆転してしまいます。
問題ない旨の根拠である基礎梁の構造計算書の提出を求めてください。
もし、検討もしていないとその基礎梁の中央に今後亀裂が起こる可能性もあります。

また、杭を擁壁の底版に載せて支持しているとの事ですが、大内解説委員の解説の通り、構造的にはあまりいい方法ではありません。
もし、擁壁が多少水平移動した場合その変位が杭から建物に伝わってしまうからです。
状況によって仕方なくこのようになったのでしょうが、その根拠や構造計算書を提出してもらってください。

最後になりますが、「よろず」でも再三忠告してますが、紹介や知合いだけで信用するのではなく、大切な財産を任せる自分の代わりに自分の家のように現場を見てくれる第三者がいかに大切か、また、その人を選ぶ見識が大切であることを身をもって体験してしまったわけですが、今となっては前向きに根気強く業者と話し合ってください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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